突然ですが、あなたは社長です。
こう言われたらどうでしょう?
なんのことやらさっぱりですよね。
でも事実なんです。
どういうことかというと、これは家の中の物とあなたの関係性を一言で言い表したもの。
家に住む人=社長
家の中の物=社員
こう考えると家の中のものが自分にとってどういう存在なのか、まるで変わって見えてきます。
- 断捨離したくても捨てられない
- 何を残しておくべきかわからない
- どう片付けていいかわからない
こういった悩みにおいては「この家では自分が何よりも偉く、全てのものは自分の思い通りに扱える」という自信を持ってみてください。
おそらく断捨離のハードルがグッと下がるはずです。
記事本文ではさらに役立つ『家庭的ジョブ理論』について解説していきます。
家の中の全ての物はあなたの『ジョブ』を解決するためにある
人はなぜ物を買うのか?
それは片付けたい『ジョブ(用事・仕事)』があるからだ。
そう説いたマーケティングの有名な本があります。
ハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・M・クリステンセン氏の書いた『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』です。
私たちが商品を買うということは基本的に、なんらかのジョブを片づけるために何かを「雇用」するということである。
つまり、自分の家を一企業と見立てた場合、あなたは社長であると考える事ができます。
そして、家の中にある物は他でもない、あなたがあなたのために社員として物を雇用しているんです。
家族と同居している場合は家族は共同経営者、という位置付けでしょうか。
その場合、あなたのワンマン経営というわけにはなかなかいきませんが、それでも家の中のほとんどの物に対しては圧倒的に立場は上なわけです。
あなたが”雇用した”物は無料では働いてくれません。
掃除したり、収納するというコストをかけて、来る日も来る日も家という会社で雇用し続けている。
経営者が給料や教育というコストを払って従業員を雇うのとなんら変わりはありません。
あなたの家の雇用体系は日本型?欧米型?
家の中の物は経営者であるあなたが雇用している。
そして断捨離のしやすさはあなたの家が物に対してどんな雇用スタイルをとっているかによって変わってきます。
それが『欧米型』か『日本型』かの違いです。
欧米ではあらかじめポストと必要なスキルが明確で、そこに合わせて人材募集をして人を雇用していきます。
会社の都合で事業や部署、ポストが不要になればそのポストで雇われている人も解雇が当たり前。
「契約とは違うけど社内の他のポストに」なんて事はむしろ契約違反、訴訟の対象にさえなり得ます。
それもあって再雇用、転職するのが当たり前という風潮が根付いているわけですね。
日本は違います。
日本型の雇用はいうなれば「メンバー制」。
一度、組織の一員に組み入れてしまえば、その都度その都度必要な部署や仕事を持ち回りで転々としながら、従業員の雇用を維持していきます。
そのためクビになりにくい。
「〇〇事業の□□課、統廃合でなくなるらしいよ」
「ああ、じゃああの人解雇だね。」
こんな事ほぼないですよね。
普通は部署がなくなっても、全然仕事の内容が違う他の部署や地域に転勤して今の会社に雇われ続けます。
これって実はとても日本らしい雇われ方なわけです。
ここで考えてみたいのが、家の中の物と断捨離に置き換えてみた場合、どちらの方が断捨離しやすいのか?ということ。
あらかじめ明確に
- 解決したいジョブ
- 終わらせたい期限
- 必要な量
これらが決まった上で物を買う『欧米型雇用』と
物に対して要不要で判断するよりも先に「エコ」や「もったいない」という気持ちの方が先に来て、なかなか捨てられない『日本型雇用』。
実際の人の雇用に関しては文化的な違いもあるので一概に良し悪しは言えませんが、
『片付ける』という目的に限っていえば片付けやすいのは圧倒的に欧米型の雇用スタイルなのはお分かりいただけると思います。
片付けたいジョブがあるから買う。(=雇う)
解決したいor役不足だから捨てる。(=解雇)
非常にシンプルでわかりやすい。
そこには日本的な「雇用した当時の役割はなくなったけどまだ現役なんだからもったいない」なんて情緒的な忖度は一切ありません。
このわかりやす過ぎる「家の中に物を置いておくことへの考え方」が断捨離を楽に、素早くしてくれます。
家の中の物を『社員化』してみよう
さて、ここまでくると家の中の物がまるで違って見えるはずです。
勢いで買ったはいいものの、コーディネートがわからずクローゼットの中にしまいっ放しのコートはお高く止まったお局社員。
「思い出が詰まってるから」と捨てられない置物は会社の立ち上げから一緒にやってきたけど今では「社長と昔から知り合い」っていうだけで会社にいる中堅社員。
インスタでバズる度についつい買っちゃう数々の便利グッズは最初の勢いだけで2~3年もしたら仕事しなくなった若手社員。
こんな社員ばかりの会社だと、なかなか先に進んでいくのは難しそうですね(汗)
もちろん、気心の知れた仲間と和気あいあい、のんびりと居心地の良い社風というのも素晴らしいと思います。
しかし
- もっと手入れの行き届いたスッキリしたインテリアの家で生活したい
- 停滞するよりも、どんどん変わっていく人生を楽しみたい
そういう場合は時には心を鬼にして家の中で不良在庫化している社員をどんどんリストラする事も必要です。
そうでもしない限り、不要な事業や膨らみすぎた人件費で傾きかけた御社を立ち直らせる術はありません。
ましてや「住所不定・無職」の容疑者のようなものが家の中に転がっているなんてもってのほかです。
【断捨離がしやすくなるジョブ理論ステップ】
- 家の中の物を眺める
- 仕事してない物(社員)を見つける
- その物に問いかける
「そもそもこれを買った時(=この社員を採用)、自分は何に困っていて、これを使ってどうなったのか」
ここで気をつけておきたいのが、何でもかんでも「使えるか、否か」の利便性だけで判断しないこと。
特に「想い出のグッズ」とかですね。
道具としての役割は終えていても、「自分の心を癒す」という情緒的な役割があったりします。
もちろんそういう社員ばかりがいて、しっかり働いてくれている社員の居場所を圧迫してしまっているような場合は問題がある、というのは前述の通りです。
ぜひぜひ、家の床にいっつも転がっている憎きアイツを手に取って面談することから始めてみてください。