あなたは普段の仕事の中で、モノを売る時、必ず存在するのは何でしょう?
それはお客さんです。お客さんを知ることでより効果的なアプローチができます。
普段「お客さん」としてひとまとめに扱っている人々を4つに分類できるって知ってました?
訪れる、接客するお客さんの状態4つに分類して適切なアプローチを取ることがモノの売り方を考える上ではとても役立ちます。
今日紹介するのはアメリカの著名なマーケッター、マイケル・フォーティンという方が考案した『OATHの法則』というものです。
これを初めて聞いた時にホームセンターという小売のるつぼとも言える販売の現場に毎日立っている人間として非常に合点がいったんです。
たぶんモノを売ることを真剣に考えている人ほど細胞レベルで納得できると思います。
普段感じていることを言語化すると理解が深まりますし、ツールとしての使い勝手も良くなるので知っておいて損はないですよ。
❶Oblivious(無知)ー気づいていない問題に気づかせる
まず問題そのものに気づいていない人たちをマイケル・フォーティンは『オブリビアス(無知)』な状態と呼びます。
例えば、パンにマーガリンを付けて食べるのが昔から当たり前の『様式』になっている人はまさかその行為に問題があるなんて思いもしないで日々パンとマーガリンはセットのものとして食べてるわけです。
そこに対して
知っていますか?
マーガリンってのはトランス脂肪酸という悪玉コレステロールの塊で、肝臓で処理しきれなかった悪玉コレステロールは体内に散らばってドロドロの血液の元になります。
プラスチックの構造とよく似ていることから「食べるプラスチック」などとも呼ばれています。
なんて情報を目にしたら「えー!当たり前のようにパンに付けて食べてたー!」という『気づき』が生まれます。
マーガリンを食べ続けることによる健康問題に対してのアクションを起こさせることができるわけです。
この問題が相手の中の『マズローの欲求の五段階』において、どの段階の欲求を脅かすのかで相手の次のアクションも決まってきます。
❷Apathetic(無関心)ー問題の深刻さを語る
問題に気づいてはいるものの何かしようとは思っていない人たちを『アパセティック(無関心)』な状態といいます。
「太ってるのは自分でもわかってるけど、別に困ってないし、痩せる必要無くね?」
問題に気づいたところで相手がこんな状態であれば取りつく島もないですよね。
そういった状態のお客さんには「このまま問題を放置しておいたらどうなるか」といった問題の深刻さと、「今だったらなんとかなる」といった今動き出すことのメリットを伝えるという手が効果的です。
太ってると将来こんな病気にかかりやすいというデータが◯◯研究所から出ています。
その病気にかかるとこのぐらい痛くて、このぐらいお金がかかって、何割かは助かりません。
ベタな健康食品の宣伝みたいですけどベタだと感じるのはそれだけ効果的でたくさんの広告で使われているからです。
こんな風に不安を煽る以外にも逆にデメリットだと思い込んでる問題をポジティブに捉え直させるってやり方もありますね。
「デブはモテない?誰が決めたんだ?」
なんてキャッチコピーで太ってること自体がステータスになって活躍している人や、それを認める文化、ファッションを紹介して
せっかく太ってるんだからそれを活かさないと損してる。
みたいなアプローチで驚きと自信を与えることで問題の解決をラクに見せる、あなたが問題だと思っていたことは実はアドバンテージだぞ、とアプローチをかけていくやり方です。
太ってるからモテないと思ってたのに、実は太ってる奴のがモテるやり方があると聞いたらムクムクっとなりますよね?
要は相手を
静 → 動
の状態へ持っていければいいんです。
ただここが一番難しいのも事実です。
ここを乗り越えるために世の中の商売はあの手この手で苦心しているんですから。
広告代理店の仕事のキモもここを乗り越えることにあるんじゃないでしょうか?
ここを乗り越えるため、相手に自分の話を聞いてもらうためにデザインの力が効いてくるし、
聞いてもらった話を理解してもらうために人間の理解の仕組みを利用した方法もあります。
❸Thinking(考えている)ー具体的な方法を教える
問題の解決に向けて動き出している、動き出す気ではいるけど、何をどうするべきか考えている状態を『シンキング(考えている)』な状態といいます。
こういったお客さんには問題に気づかせたり、解決に向けて動いてもらったりするための情報は必要ないんですね。
問題を解決するために具体的にどうしたらいいの?ってトコを知りたいわけです。
アレもいい、コレもいいと言うよりもズバリコレ!という提案の仕方が必要です。
かといってお客さんがよっぽどの信者でもない限り人の言うことをただ鵜呑みにするほど馬鹿な消費者はいません。
幼少期から徹底的に『お金ゲーム』
を仕込まれた人はそう単純には信じません。
そこで
- 理由 ー商品の良さを裏付けるデータ、根拠
- レビュー ー実際の購入者がどんな感想を持っているか
- 保証 ー思ったような効果が出なかった時のリスクについて語る、場合によっては返品、交換などの提案もする
- 権威性 ー勧める側の人が信頼に足りうるような実績のある人がどうか、またその商品に精通している人が勧めているか
こんな切り口からお客さんの問題を解決するためのあなたが提案する具体的な方法、商品について説得力を持たせていくんです。
❹Hurting( 困っている)ースピードと分かりやすさで訴求する
とにかくすぐに問題を解決しなければならないお客さんは『ハーティング( 困っている)』な状態にあるといいます。
大雪の予報が出て慌てて雪かきスコップを買いに来る人を、わざわざ店の奥まで案内してズラーっと並べた中から一つ一つ説明し、選んでもらうなんてのが馬鹿らしいことであるのは誰でもわかりますよね?
お客さんは急いで雪かきスコップを買って積もる前に帰りたいわけです。
そういったハーティングなお客さんには商品提供までのスピードとわかりやすさがキモです。
これはべつに日用必需品に限った話でもなく、宝飾品とかにも当てはまります。
奥さんへの誕生日プレゼントに可愛いネックレスを贈りたい旦那さんがいるとします。
まぁ僕ですねw
ちゃんとしたものをあげたいとは思うものの、いざお店を訪れるとどれを選んでいいかわからないし、なんだか気恥ずかしいからサッサと買ってお店を出たくなるんです。
僕とって大切なのは
- 今日奥さんへの誕生日プレゼントを買うこと
- ハズレのないデザインであること
この2点です。
こういったハーティングなお客さんを掴むには店頭のわかりやすい場所に『当店で女性への贈り物に人気のネックレスTOP3』なんて売り場を作っておけばいいんです。
お会計なんかもすぐにできるようにレジを用意しておけば、なおのこといいですね。
ウロウロ慣れない店内を徘徊する必要も無くすぐに買うことができますし、なにより人気ランキングTOP3としてまとめることで客観性の後押しが効きます。
変なデザインのネックレスを選ぶ心配もないわかりやすさがハーティングなお客さんにとっては嬉しいわけです。