自分がどんなにいい商品だと思っていてもなかなか売れないことってありますよね。
いい商品なのに売れない=良さが伝わっていない
仕入れる商品が良くても伝え方を間違えているといつまでたってもお客さんには伝わりません。
人に自分の伝えたいことをわからせようと思ったら人間の脳の働き毎に異なる3つの入り口から3回アプローチしてみてください。
特にこれは小売の現場でお客さんに直に接する人にはぜひ『売り場を作る時のコツ』として意識的に使って欲しいです。
体験・感情・損得
この3つだけを覚えておいて売り場を作る時に思い出して使ってみてください。
体験を通じて訴えかける売り方
一番効果的なのはお客さんを火炎放射器で丸焼きにして「どうですか⁈すごい火力でしょう⁈」とアプローチすることです。
バカなこと言ってますけど極端に言うとこういうことなんですよ。
「危ない!」とか「熱っ!」っていう反射的に反応してしまうようなことってありますよね?
五感を直接刺激するような売り場作りはこちらのメッセージを抱き合わせてお客さんの心に深く射し込むのに非常に効果的です。
ポップに思わず「えっ?」となるような刺激的な写真を入れてみたり、
製品の匂いがわかるように実際に嗅がせたり、
触った時の質感や持った時の重みを伝えたり、
食べられるものなら実際に食べてもらうのもいいですね。
動画メディアを使って視覚と聴覚を両方刺激するのもアリです。
これを意識しておき、新しい商品を提案する際にどこかにそういった五感を刺激するような仕掛けを取り入れられないか考えてみてください。
ふわふわのニットを売りたかったら手書きのポップで「超気持ちいいから触ってみてください!」とか書いちゃうのも伝わりやすいです。
ただスペックや便利さを語ったり綺麗に飾り立てるよりも、脳で咀嚼する前の反応に訴えかけるとその時の反応とセットで、商品のことを記憶してもらえます。
商品名伝えようとしてもなかなか覚えてもらえないですけど、「あの店でこの間触った、あのいい匂いがするアレ」とかの方が長く深くお客さんの中に残ります。
好き嫌いを訴えかける売り方
「売る側の好き、嫌いを盛り込む」
意外とみなさんこれはやらないんですよね。主観を出さない。
でも人の心を本当に動かすのはやっぱり人の心なんですね。
人間には共感する能力がありますから、ある感情に対しては「何かしら」反応が起こります。
それがポジティブなものかネガティブなものかはさておき、お客さんの中に何かしらの感情が起こる、これだけでもただ通り過ぎられて記憶にも残らないよりは100倍マシです。
スペックだけ理路整然と並べたポップや綺麗な売り場を作って満足していませんか?
いくら上司からの評価の高い綺麗な売り場を作ったところで、お客さんが気にもとめず通り過ぎていったら何の意味もありませんよ?
思い切ってあなたの商品に対する好き、嫌いを表現してみましょう。
「この商品のここがスキ!」みたいのでももちろんいいですが、逆に「こういう商品はホントに嫌い!ムカつく!」といったネガティヴな主観を出しつつ、「この商品はそういうところがないからおススメしたいんです」なんてアプローチも効果的です。
人は泣いている人や怒っている人には無意識に注意を向けてしまうように出来ています。
クレーマーが怒鳴るのは「こうすれば自分の要求を聞く」のがわかっているから怒鳴るんです。
人間の心理を直接揺さぶる実に卑怯かつ、効果的な技術ですね。
『怒り』というネガティブなパワーをお客さんへの愛に転換させて訴えかければそれだけ伝わりやすいということです。
損得を訴えかける売り方
- この商品にはこういう利点があります。
- 他の物と比較してこれぐらい優れています。
- 普段○○円の物が今だけこの値段です!
論理的な正しさを追求していくというやり方で、これが一番使われている伝え方ではないでしょうか?
効果的かどうは別として。
商取引の場でお客さんにとっての論理的な正しさとは何かといえばそれは「どのようなエビデンスで自分にとって得なのか」これだけです。
ここを様々な角度で訴えかけていくスキームです。
頭のいい人こそ注意!
頭のいい人はむしろここばかりやりすぎて論理だけで「この商品が良いものだってわかるだろ?」とやりがちになってしまうので、
このスキーム、論理的な正しさで商品の良さを訴えかける時には
- シンプルな論理で話を展開できているか
- 記号やグラフを使って言葉以外で伝わるデザインにできないか
情報の引き算を考えましょう。
引き算した分で注目を集める仕掛けや、お客さんの感情を揺り動かす分量を増やしましょう。
自分大好きすぎる人も注意!
逆に主観で突っ走って熱く語りすぎちゃう人は
- データで示す
- 専門家・著名人の評価を示す
- 他の利用者の声で示す
こういう一歩引いた「他の人はどう言ってるか」という視点で商品の良さを語りかけて「お前が思ってるだけだろ?」ってツッコミを回避しましょう。
脳科学を利用した売り場作り
これはポール・D・マクリーン博士というアメリカの医師が1973年に提唱した『三位一体脳論』に基づいています。
「人間の脳は単一に一つにまとめられるのではなく、働きごとに3つに分けられる」
というものです。
❶爬虫類脳
生命活動の維持に直接関わる働きを司り、身に危険が迫った時の身体の反応をコントロールします。
❷旧哺乳類脳
快・不快の刺激と結びついた本能的な情動やそれに伴う複雑な感情、性的な欲求を司る働きをします。
❸新哺乳類脳
論理的な思考や数学的思考、高度な知的プロセスを担う働きをします。
現代の脳科学ではこれらの階層構造に疑問を呈する意見もあるようですが、小売の現場に立つ人間がザックリと人間の脳の働きを理解するのには使えそうですよね。
今までの「安い!」「早い!」「良い」だけを論理一辺倒で訴えかける売り方、売り場作り、ポップ作りよりも
お客さんの感覚や、感情を刺激して一段深く入り込んだ売り方をしていきましょう。