【キャノンボール・アダレイのアルバム6選】枯葉やビル・エヴァンスとの共演でも知られるアルトサックスの名手

みなさん、キャノンボール・アダレイというサックスプレイヤーはご存知ですか?

  • サックスの音は好きなんだけど、イマイチどれを聴いたらいいのかわからない。
  • えー、ジョン・コルトレーンとかなら聞いたことあるけどそんな人知らないなぁ。
  • 名前は聞いたことあるんだけどどんなアルバムが出てるのか、ちゃんと聴いたことないんだよね。

そんな方はぜひこの記事を読んでみてください。

【本記事の内容】

  • ただの高校の音楽の先生だった27歳の若者があっという間にジャズのスタープレイヤーになったストーリー
  • ジャズを聴かない友達にちょっとドヤれるモダンジャズのうんちく
  • 疲れた夜にも聴くだけで癒される煌びやかなキャノンボール・アダレイおすすめの名盤(試聴付き)

こちらをご紹介しています。

この記事を読み終えるころには

「あーキャノボでしょ?知ってる知ってる。いーよね」

って言えるようになります!

キャノンボール・アダレイってどんな人?

マイルス・デイビスに熱心に自分のバンドに入るようスカウトされ、

ジャズの形そのものを変えた名盤『Milestones』~『Kind of blue』などに

  • ジョン・コルトレーン
  • ビル・エヴァンス
  • ポール・チェンバース

などの錚々たる面々と参加したレジェンドです。

ジャズの形式が吹奏楽部のようなビッグバンド型から少人数で演奏するモダンジャズに形を変えてきたことはこちらの『ジャズミーハー必見!これだけ押さえときゃバレないスタンダード曲6選』でも書きましたが、

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少人数でおしゃれなムードを醸し出すモダンジャズが生まれ、完成していく真っ只中にいた人ということで、ジャズの歴史においてはかなり重要な人物ということがわかりますね。

 

キャノンボール・アダレイの生い立ち

キャノンボール・アダレイは幼い頃から音楽の英才教育を受けていました。

キャノンボール・アダレイの父親もまたFlorida Ramblersというバンドのコルネット奏者として活動していた時期があったからです。

ミュージシャンを辞めてからもう一つの夢であった教育者として努力し、晩年に修士号まで取得した父親を二人の兄弟、キャノンボール・アダレイ、弟のナット・アダレイはとても尊敬していました。

そんなミュージシャンでもあり、教育者でもあった父親から得た音楽的素養があったからこそ、後のニューヨークでの衝撃的デビューに繋がったんでしょうね。

 

キャノンボール・アダレイのあだ名の由来は?

キャノンボール・アダレイの本名はジュリアン・アダレイ。

キャノンボールはあだ名です。

弾丸という意味の英語から付けられたというよりは、巨漢の大食いだったジュリアンを仲間の一人が『キャニバル(cannibal:人食い人種)』といじりはじめ、それが形を変えてなんだかカッコいい感じになっちゃった。というのが由来だそうです。

学生時代のあだ名でそのまま世界中に名前が知れ渡るとはその時は思ってなかったでしょうね。

 

キャノンボール・アダレイを語る上で欠かせない衝撃的デビュー

キャノンボール・アダレイのデビューは漫画のような衝撃的なものでした。

27歳の頃、ニューヨークの大学へ入学する為に移住しました。

ニューヨークに上京して間もない頃、大学の近くのジャズクラブ「カフェ・ボヘミア」へハウスバンドを観に訪れたときのこと。

 

※ジャズ・クラブ

 

ジャズの世界にはジャズクラブと呼ばれる食事をしながらジャズのライブを楽しめるレストランがあります。

ニューヨークに限らず、日本にも

  • ブルーノート(東京、名古屋)
  • コットンクラブ(東京)
  • モーション・ブルー・ヨコハマ(神奈川)
  • ビルボード(東京、大阪)

などの有名なジャズ・クラブがあります。

 

 

※ハウス・バンド

 

街の小規模なジャズ・クラブには有名なツアーミュージシャンの来ない平日にも来店客にジャズを提供するため、お抱えの『ハウス・バンド』と呼ばれるミュージシャンたちがいます。

平日の夜でもフラッと立ち寄って、生のジャズを堪能しにいく文化があるなんて素敵ですね。

 

しかし、その日出演予定のハウス・バンドのサックスがなかなか現れません。

ハウス・バンドのベースプレイヤー、オスカー・ペティフォードはその場に居合わせた有名なサックス奏者のチャーリー・ラウズにステージに上がるように頼みますが肝心の楽器がない。

そこでライブを観ていたキャノンボール・アダレイに楽器を貸してくれるように頼んだわけですがなんと、なぜかアダレイ本人がステージでプレイするということになりました。

一説にはチャーリー・ラウズはすでにフロリダで活躍していたキャノンボール・アダレイを知っており、実力をわかった上でステージに上がるように促したという話も。

プロのサックス奏者を差し置いて、飛び入りでステージに上がってきた生意気な輩にニューヨークの洗礼を浴びせるべく、ペティフォードは「I`ll remember april」という曲を高速でかまして演奏についてこれないよう仕掛けます。

しかし、そこでキャノンボール・アダレイはサラリと演奏してしまったんです。

この飛び入りがきっかけとなって教職の道を志していたキャノンボール・アダレイという才能がジャズ界で活躍することになります。

ちょうど時期を同じくして亡くなった伝説的サックスプレイヤーのチャーリー・パーカーが「バード」の呼び名で呼ばれていたことから「バードの再来」とまで言われていたそうです。

まぁ本人はそれを快くは思っていなかったようですが。

 

帝王・マイルスに見染められた腕前

キャノンボール・アダレイのすごいところは

  1. 帝王・マイルス・デイビスに自分のバンドに加わるよう熱心に口説かれ続けるほどマイルズを惚れさせた腕前
  2. キャノンボール・アダレイ名義のアルバムにマイルス本人を参加させる形で制作したこと

この2点が特筆すべきところです。

マイルス・デイビスとは?

キャノンボール・アダレイをご存知の方でマイルス・デイビスを知らない方はいないと思いますが、知らない方のために念のため。

マイルス・デイビスとはジャズを語る上で切っても切り離せない人です。

一言で言うならば

『それまでのジャズの音楽理論に飽きて自分で新しい音楽上のルールを作ってしまった人』

 

私らの中にある「ジャズは渋い大人の音楽」というイメージはこの人に形作られたと言ってもいいくらいに、ジャズという音楽の歴史に爪痕を残しました。

またその強面な表情や、今も残されている発言の数々も『帝王』と呼ばれるにふさわしいものがあります。

また、他のアーティストの才能を見つける能力にも長け、マイルスのバンドに在籍したジャズメンはどのメンツも

「【楽器名】覚えたいなら〇〇は絶対聴くべき」

と常套句のように言われる人ばかりです。

そんな『帝王』に自分のバンドに入るように何ヶ月も口説かれ、

それだけではなく絶世期のマイルス・デイビスがキャノンボール・アダレイのリーダーアルバムを作ることに奔走し、

しかもマイルス自身の名前はサブクレジットという形でアルバムを発表したことがいかにすごいことか、わかるかと思います。

キャノンボール・アダレイのプレイが聴けるオススメの名盤 6選

Things are getting better

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鉄琴の一種、ビブラフォンの名手、ミルト・ジャクソンとの共作

マイルスといる時とは違うブルース感はじける陽気なジャズ。

  • アルトサックス(管楽器)
  • ビブラフォン(鍵盤打楽器)
  • ピアノ(打弦楽器)

この毛色の全く違う3つの楽器が作る音の広がりがとてもおしゃれな雰囲気を醸し出します。[/col2] [/colwrap]

Cannonball Adderley Quintet In Chicago

[colwrap] [col2][/col2] [col2]『モードの夜明け』とも言われるアルバム、マイルス・デイビスの『kind of blue』の録音の1ヶ月前にマイルス抜きで行われたバンドのセッション。

マイルスがいないせいか(笑)やたら楽しそうに自由に弾きまくってるのが印象的。

ドラムとか、こんなソロ、マイルスがいるときは絶対やんないだろ(笑)みたいな感じで入ってくるし。

伝説的テナーサックス奏者のジョン・コルトレーンとキャノンボール・アダレイは仲が良かったそうで演奏面でもお互いに楽しそうに会話してるような様子が感じられます。[/col2] [/colwrap]

Somethin’ Else

[colwrap] [col2][/col2] [col2]マイルス・デイビスをサイドメンという形で迎えて作成されたキャノンボール・アダレイのリーダーアルバム。

何を隠そうジャズの最も有名なスタンダード曲『枯葉』が初めて収録されたのがこのアルバム。

キャノンボール・アダレイ名義とは言いつつも『枯葉』で奏でるマイルスのメロディが印象的。[/col2] [/colwrap]

Cannonball Adderley Quintet In San Francisco

[colwrap] [col2][/col2] [col2]2年間のマイルスへの弟子入り?を終え、弟のナット・アダレイとのバンドに帰ってきて録音されたアルバム。

ジャズのスタンダードとして人気のある『Mornin’』の作曲者、ボビー・ティモンズをメンバーに迎え作曲された『This here』からは仲のいい管楽器エリート兄弟の息のあった演奏が聴こえてきます。

この人は仲のいい人と演奏すると本当に楽しそうなメロディを吹きますね。[/col2] [/colwrap]

Know What I Mean?

[colwrap] [col2][/col2] [col2]マイルス・デイビスのバンドにも参加し、モダンジャズを代表するピアニストであるビル・エヴァンスとの共演。

唸りを上げて高らかに響くというよりはビル・エヴァンスのピアノのコード感の中で跳ねているような演奏が心地いいです。

ビル・エヴァンスのピアノを邪魔しないよう、吹きまくりたいのを必死に抑えてる感じが逆にキャノンボール・アダレイのプレイに新鮮味持たせていますね。[/col2] [/colwrap]

Mercy, Mercy, Mercy

[colwrap] [col2][/col2] [col2]ジャズかコレ?な一枚(笑)

後にマイルス・デイビスに引き抜かれ、Weather Reportとしての活動も有名なジョー・サヴィヌルの電子ピアノによるオルガンっぽさや、ブルースのコード進行、ライブ盤らしく大騒ぎしてる観客の合いの手(笑)

こういったものが相まってディープな黒人ばかりの教会でお祭り騒ぎしてるようなアルバム。

特に『sticks』のファンキーさはクセになります。[/col2] [/colwrap]

『Milestones』『Kind of Blue』と聴き比べるとモードジャズの理解が深まる

キャノンボール・アダレイという人はとても器用な人でどんなプレイヤーと共作してもその人に合わせた雰囲気の中で、持ち前の煌びやかで楽しいメロディを吹く人でした。

だからこそマイルス・デイビスがジャズに革命をもたらしたアルバム『Milestones』や『Kind of Blue』の中で演奏するキャノンボール・アダレイにはどこか“違和感”が残るんですね。

そのモヤッとした感じこそマイルスが目指した新しいものだったのではないかと思います。「落ち着かない美しさ」とでも言いましょうか。

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モダンジャズが出来ていく過程をキャノンボール・アダレイの視点から探るのも、また違った見え方がしてくるので面白いですね。

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