【マスカレードホテル 感想】キムタクの美学に気付いてしまった

日本人なら誰でも一度は抱く疑問、

 

「どうしてキムタクは何を演じても”木村拓哉”なのか」問題。

 

これに終止符を打つことに成功したのでご報告したいと思います。

 

キムタクは社会に出た男達の代弁者

木村拓哉が表現するもの。

それはたった一つ。

『不良性』

 

彼は今までひたすらに男の中の不良性を表現している。

だから私ら一般ピーポーは彼の出演作品を観ては「キムタクは何をやってもキムタクだなー」なんて、やや嘲りを含んだ感想を持つ。

しかし、そんなのは当たり前のことだったのだ。 だってどの作品においても同じことを表現しようとしているんだから同じように見えるに決まってる。

むしろキムタクが作品に合わせてペコペコしたり、顔芸入れたり、底抜けにいい人になったりしては困る。

『いつも尖っててとっつきにくいけど、いざという時は頼りになる憎めない奴』

この主役感が欲しくて製作側はキャスティングしているのだからキムタクは余計なことをしなくていい。

作り手側はそれも織り込み済みというわけ。

 

きっかけはAmazon primeでマスカレードホテルを観たこと

私がキムタクの表現し続ける不良性に気づくきっかけとなったのは、愛用するAmazon primeで唯一観ることができる木村拓哉主演作品『マスカレードホテル』を観たこと。

劇中でキムタクはハグれものの刑事・新田浩介を演じる。うん、やっぱりここでもハグれてる。

連続予告殺人事件の犯人逮捕のために、次の予告犯行現場であるホテル・コルテシア東京で潜入捜査を行うという設定だ。

それぞれの刑事にはホテル内での『仮の姿』としての役職が与えられるわけだが、ここでキムタク演ずる新田はまさかのフロントクラーク。

つまりホテルの顔だ。

いつもの無精な汚れた風体から一変してホテルマンらしい身だしなみに、なかば業務命令で嫌々身を包む。

 

しかし、私のアンテナはここで「ムムムっ」と反応したわけ。

昔のタモリばりにグリースで髪の毛を撫でつけて、スーツで身を固めているのに、それでもまだそこはかとなく滲み出てくる『いつもの危うさ』を感じる。

いわゆる、あの、いつもの『キムタク感』だ。

そこでふと思ったんです。

「いや、これって逆にすごいことだぞ」と。

 

どんな作品に出ても、 どんな役を演じても、 どんな共演者と演じても、 どんな台詞を吐いても 必ず”ちゃんと”キムタクに見える。

しかも数十年も前から。

なかなかできることじゃない。

技術の上では同じことをやろうと思えばできる役者はたくさんいるだろう。

しかし、それをやり続けて評価を得続けることは並大抵のことじゃない。

なぜ、木村拓哉はどんな役においてもこの『不良性』をにじませ続け、また世間はそれを受け入れ続けられるのだろうか?

 

男達にとって社会はいつだって阿ることを強いてくる

 

阿る(おもねる)とは

人の気に入るように振る舞う。へつらう。

 

社会に出たことのある男性なら誰でもわかることだとは思うが、社会の中で「いかに、どれだけ、誰に阿るか?」の繰り返しだ。

その第一歩、就職活動を考えてもらえればわかりやすい。

面接の場面で

面接官
ご自身の長所はどういった所だとお考えですか?

 

という質問に、

ツマルト
いや、自分は自分なんで

 

なんてキムタク風に、緊張した素振りも見せず、ふてぶてしく、なんなら第一ボタンを開け、緩めたネクタイ姿で椅子にダラーンと腰掛けて答えたなら、まず社会への入り口は閉店ガラガラ。

面接官
君、もういいよ。帰って。次の方〜

 

こんなふうにいそいそと次の面接者を面接官が呼ぼうとしたところに突っかかって

ツマルト
ちょ、待てよ!

 

といつものを言おうものなら完全にヤバいヤツである。

しかし、キムタクならこれがドラマの第1話に見えてしまうから不思議なものだ。

 

話がやや脱線したが、男というものは上下関係の生き物。

どちらが上で、どちらが下か。

カブトムシの大きくなったようなのと考えてもらっても差し支えない。

そして大概はより大きなカブトムシの前では作り笑顔を浮かべ、状況にふさわしい態度を取り、そのことに大なり小なりストレスを抱えている。

本当はそんなことしたくないし、そんな姿は見られたくない。

しかし、社会に出て、一端の成員となるにはこの『通過儀礼』を経ないことには始まらない。

だから皆、渋々『阿る』

 

ここに『本当はそうではない自分』という不良性への憧れが生まれる。

本当は皆、社会や組織という『阿りの圧力』に逆らって自分らしさを貫きつつ、周りに認められて結果を残したいと思っている。

しかし、普通はできない。だからこそ男は憧れ続ける。

それをメディアという枠の中で体現し続けているのが『木村拓哉』というコンテンツなのである。

 

キムタクは良い役者になろうとしているんじゃない

キムタクが表現しているものは不良性だとすると、彼のアウトプットに対して上手いとか下手と言ってる時点でそもそも視点がズレている。

キムタクにとって一番大事なことは『より新しい状況でもキムタクらしいか?』であって、より新しい表現をすることではない。

そういうのはキムタクの周りを固めている俳優がやることであって、キムタクのものではない。

どんな苦境に立たされようとも、自分を変えない姿を見せ続ける。

キムタクはもしかしたらこれが木村拓哉に与えられた役割、仕事だとわかっているのかもしれない。

このように、キムタクが一つのことを純粋に追求しているとすれば、もはやある意味イチローとかカズなどのトッププレイヤーでい続けるアスリートに近いことをやってるわけで、

彼にマンネリだとかなんだとか言う輩はイチローに対して「いつまで野球ばっかりやってんだ」とか、カズに対して「野球もやんないとおもしろくねーぞ」と言ってるようなものなのである。

上手い役者は他にいくらでもいる。

しかし、木村拓哉を演じることは木村拓哉にしかできないし、

後から他の人間が木村拓哉らしさを作ることもできないし、

今さら急に木村拓哉が木村拓哉であることを辞めてしまえば、それはもはや相撲や歌舞伎がなくなるような『文化の喪失』である。

 

キムタクの動的平衡性 -時代の変化と自らの老いの中でうまく自分を変えていく-

変わらない変わらないと言い続けてしまうと、ただの頑固な大御所俳優のように聞こえてしまうかもしれないが、けっしてそんなことはない。

TBSドラマ『グランメゾン東京』では今までにないパーマヘアで新しい40代の可愛げとカジュアルさを開拓しているし、2020年1月に放送されたフジテレビ開局60周年記念ドラマ『教場』では、総白髪の冷徹な教官として、警察学校の生徒を震え上がらせる役どころを演じている。

 

彼は変化しながら、そこにしっかりと存在している。

例えるならば、『川の中の渦』のようなものだ。

 

流れる水が作り出す渦は、構成している水は常に入れ替わるが、誰が見てもそこに変わらず『渦』として見ることができ、存在を感じることができる。

これを生物学者の福岡伸一先生は『動的平衡』と呼ぶ。

人間もそうだ。

常に細胞の一つ一つが入れ替わり続ける、2年もすれば身体の全ての細胞が新陳代謝で新しいものに入れ替わる。

しかし、私は私としての存在のままだし、あなたもそうでしょう?

変化しつつ、変わらない芯としての『木村拓哉』を表現し続けるキムタク。

 

あなたの中の『キムタク性』は何ですか?

 

これ、一回考えてみると「あー、自分の生き方でこれだけは譲れないものってこれかもなー」 って見えてきたり、こなかったりラジパンダリ。

ワンポイントアドバイス!
キムタクの出演作品は「キムタクが何に反抗しているのか?」に注目して観てみると面白いよ!

キムタクの出演作品を観るならどのVODがおすすめ?

キムタクの作品と言えばやはりテレビドラマが大半を占めます。

そこで、今現在ネット申し込みのVODで観ることができる木村拓哉出演作品を一覧にしてみました。

FOD(フジテレビオンデマンド)

  • 教場(2020)
  • PRICELESS〜あるわけねぇだろ、んなもん!〜(2012)
  • CHANGE(2008)
  • プライド(2004)
  • HERO(2001)
\公式サイト/
あの伝説の月9ドラマの配信が待たれる…

Paravi

  • グランメゾン東京(2019)
  • A LIFE〜愛しき人〜(2017)
  • MR.BRAIN(2009)
  • GOOD LUCK!!(2003)
  • ビューティフルライフ(2000)
\公式サイト/
名作がバランスよく観られる!

TELASA

  • BG〜身辺警護人〜(2018)
  • 宮本武蔵(2014)
\公式サイト/
ごめんなさい…『宮本武蔵』は知らんかったw

 

今のところフジテレビ系のFODと、TBS系のParaviが同率1位といった感じですが、フジテレビにはまだまだ…

  • 眠れる森(1998)
  • ラブジェネレーション(1997)
  • ギフト(1997)
  • ロングバケーション(1996)

などのモンスターコンテンツが控えています。

今後のFODの追加作品に期待したいところです。

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