水槽やろうと思ってるんだけど、底面フィルターにしようか迷ってる。
なんとなくはわかるんだけど、実際に底面フィルターを使っている人の使い方や本音の部分を聞いてみたい
そんなアクアリウムやテラリウムの初心者の方の疑問を解消すべく、底面フィルター使用歴10年を超えるツマルトが、通販サイトだけではわからない部分まで詳細に、底面フィルターについて語り倒してみました。
結論から言うと、底面フィルターはアクアリウム初心者の方におすすめです。
理由は3つ。
- 初期費用、ランニングコストともに安い
- 濾過能力が高く、水槽立ち上げ時の不安定さもないからうまくいきやすい
- 水槽の水を外に出す『外部フィルター』の水漏れ事故などの危険性も低くて安心
そんな理由から私も底面フィルターを手放せずにいるアクアリストの一人です。
底面フィルターで私が愛用しているおすすめの機種はニッソーの『バイオフィルター』
この底面フィルターは仕組みがとにかくシンプルで、なおかつ昔から全く変わらないデザイン、仕様なのでパーツの交換や追加をするのにも困りません。
テラリウムをやりたい方はこの底面フィルターにジョイントできる『ティポイント6i』という、水中ポンプの揚力で水を吸い上げ、滝や湿地帯、水辺の風景を表現できるアイテムを使うのがおすすめです。
ちなみにこのティポイント6iの耐久性はものすごいものがありまして、6~7年24時間365日、ノーメンテで動かし続けても機能に衰えが生じないという人間の心臓のような強度があります。
底面フィルターに関する詳細な説明は以下の本文に載せましたので、さらに深く、底面フィルターのことについて知りたいという方はぜひ本文まで読んでみてください。
見出しから気になる目次のみ、飛ばし読みしてみてもいいかも。
底面フィルターは掃除がすごい楽
底面フィルターは水槽の底に敷いてある砂利の中に水を通すことで水槽内に水流が発生し、汚れを浄化します。
熱帯魚のエサの残りや、ふんは底面フィルターによって分解されるので、頻繁な掃除や水換えをしなくても大丈夫。
熱帯魚やエサの量が少なければ1ヶ月に一度、全体の1/3程度の水換えをすれば美しい状態を維持することができます。
底面フィルターで水をキレイにするろ材の役割を果たしている砂利を掃除する場合も、『プロホース』などの専用の道具を使って、砂利の中の汚れだけをかき出すことができます。
底面フィルターのろ材である砂利を掃除する時は、あまり神経質にキレイにする必要もなく、ザーッとでOK。
週末の夜など、掃除したての水槽を眺めながらボーッとするのはけっこう贅沢な癒し時間ですよ。
水槽の光に照らされた熱帯魚や水草を見ながら、ウィスキーなんか飲むともう、最高!
底面フィルターは最も怖い『水漏れ事故』の心配がないから安心
水槽を持つ上でもっとも恐ろしい『水漏れ事故』
水槽の水は一般的な60cm水槽でおよそ80リットル。
掃除用バケツおよそ8~10杯分の量になります。
この量の水が床に流れ出てしまうような事態になれば自分の家の床だけでなく、下の階にまで水が漏れてしまうこともあり得ます。
家族同士で住んでいる戸建て住宅ならまだしも、下の階に他人が暮らしているマンションやアパートでの水漏れ事故は相手の家に実害を与えてしまうことにもなりかねません。
高いろ過能力で人気の『外部フィルター』は強力なポンプの力でグイグイ水槽の外に水をくみ出してろ過します。
しかし、水槽の外に水をくみ出すということは、何かのはずみでホースなどが外れた場合、水槽の水が無くなるまで水を外にくみ出してしまうということでもあります。
底面フィルターであれば、水槽内の水を外に出さずに、水槽の中だけで循環させるので安心。
色々な失敗を繰り返した結果、私が行き着いたのはシンプルイズベストの底面フィルター、というわけです。
底面フィルターは何年も同じレイアウト、砂利でOK
たくさんの水草を生い茂らせるネイチャーアクアリウムで必ずと言ってほどよく使われる『ソイル(泥)』
その名の通りこれは泥を粒状に固めたもので、これを水槽の底に敷くことで熱帯魚や水草の好む弱酸性の水質を作り出します。
しかしソイルの経年劣化で粒が潰れて汚泥が溜まってしまい、水槽の底部に止水域ができるようになってしまうと水質の悪化などを招いてしまうこともあります。
その点、砂利を使った底面フィルターは水槽全体の通水性が抜群です。
ろ材として敷いている底床が砂利なので粒が潰れることはありませんから、劣化なんて気にせずガンガン掃除できます。
「せっかく水草がうまく育てられてたのに、ソイルが劣化して調子が崩れたからリセット」
こういったことは砂利を使った底面フィルターにはありません。
どういうことかというと、ソイルは
- たくさんの栄養分が含まれているので、わざわざ肥料を与えなくても水草が育ちやすい
- 水草や熱帯魚が健康的に育ちやすい『弱酸性の水質』を与えてくれる
水槽立ち上げ時に色々と助かることが多い。
しかし、その効果が切れてくると追加で肥料を足したり、ソイル自体を交換したりしなければならなくなってきます。
例えるならば、最初は優しくて、家まで送ってくれてたのに、付き合って2年もすると現地集合、現地解散みたいな扱いをしてくる彼氏のようなもの。
砂利はそういった効果は皆無。ただの小さい石。助けもしなければ邪魔もしない。
面白みはないけれど、キチンと定職についていて、気がついたら何年も一緒にいて、いつも支えてくれているような不器用で実直な男です。
ちょっとソイルを悪く言い過ぎ感がありますが。
しょっちゅうレイアウトを変えて、いろんな水草を育てたい人にはソイルはいいと思います。
そうではなくて、同じレイアウトで長くゆっくり、メンテナンスも最小限、そういう楽しみ方をしたい人には、やっぱり砂利と底面フィルターの組み合わせが向いていると思いますよ。
水槽立ち上げの早さは他のフィルターと同じぐらい
水槽が立ち上がる早さは、外部フィルターなどの他のろ過方法に比べてどうか?という話ですが、
特別、時間がかかるわけでもなければ、早くもない。というのが底面フィルターをやっている感想ですね。
水槽の立ち上げってなんぞや?という話
水槽を始めるにはまず水槽に水を入れて、フィルターで水を循環させます。
熱帯魚や生き物が生きていける川の水と同じ状態を作るためです。
これを水槽を立ち上げると言うんですけど。
これには通常1ヶ月程度かかります。
熱帯魚もいない、水草もまばらな水槽なのにひたすら毎日タイマーで照明を点け、フィルターを回し続けるわけです。
この時点で来客があると、必ず「アレ?魚は?」って言われます。
そんな虚しさにも負けずに、フィルターで水を循環させ続けると徐々に水の濁りが消え、恐らく見たことがないぐらいに水がキラキラして見えてきます。
感傷的なものではなく、余計な気泡や汚れ、濁りが水槽内に増やしたバクテリアに分解されることにより、透明なコップに水道水を注いだものよりも美しく見えるんですね。
こうなってようやく育ててみたかった熱帯魚やエビなどを水槽にお招きして、本格的な水槽ライフが始まります。
水槽に水を注いで、熱帯魚が住めるような環境になるまでに約1ヶ月。
せっかちな熟練アクアリスト達はあの手この手で水槽を早く立ち上げる方法や薬剤を駆使したりしますが、
まぁそんなことしなくても、フィルターを1ヶ月も回しておけば誰でも水槽の立ち上げはできますよ。っていうお話でした。
底面フィルターは仕組みがシンプルで使い方も簡単
底面フィルター、特にエアポンプを使った『エアリフト式』の場合はとにかく仕組みがシンプル、それゆえに安い!
- 何もない水槽にプラスチックのすのこのようなものを敷く。(フィルターユニットってやつですね)
- フィルターユニットに給水パイプをつける
- エアポンプ(空気がブクブクでてくるやつ)のストーンを給水パイプの中に入れる
- フィルターユニットの上に砂利を敷く
↑これで底面フィルターの完成です。
正直、「いや、こんなんで水がキレイになんてならないでしょ」って思うぐらい底面フィルターはショボい仕組みです。
でも底面フィルターってろ過能力高いんです。なんといっても水槽全体がろ過槽ですからね。
ショボい外部フィルターや引っ掛け式のフィルターでチョロチョロろ過するぐらいなら、安価で安全な底面フィルターの方が断然おすすめですよ。
底面フィルターは使い方も簡単。
給水パイプに通したエアポンプの電源を入れるだけ。
給水パイプ内に上向きの水流が発生すると自動的に水槽底部に敷いたフィルターユニットから水を吸い上げ始めるので、水がぐるぐると回り出す、という。
ちなみに私が愛用している『水作 水心 SSPP-3S』はダイヤル式でエアーが吹き出る量を調整できて色んな環境に使いまわせるので便利です。
5年ぐらい、24時間365日使ってますが全く壊れないというちょっと不気味なぐらいの耐久性。
音は静かな方だとは思いますが、直接水槽台などに置くとさすがに振動音が気になるので、私は水槽台の下に引っ掛けるようにして使っています。
嘘みたいな話ですけど、こんなに簡単な仕組みで魚にあげたエサなどがドンドン水槽底部の砂利に吸い寄せられていくのが見た目にもハッキリと見て取れます。
底面フィルターはこうやって、自然の『沼』のような仕組みで、熱帯魚にも優しい水流を出しながら、しっかりと水をろ過します。
底面フィルターはシンプルだから自分なりに改造もできる
底面フィルターはエアポンプをつないで砂利をろ材代わりにする『エアリフト式』以外にもいろいろな改造をして楽しむことができます。
外部フィルターと直結
砂利の中に敷いたフィルターユニットに外部フィルターを直結させる
ろ過能力パワーアップ!
水中ポンプでくみ上げ
水中ポンプで水を組み上げて、さらに『ティポイント6i』で水を8方向に分岐。
水辺の風景をリアルに表現する『テラリウム』が作れちゃう
私は初心者の頃から、「水槽の左側から外部フィルターへ、水槽の右側ではティポイント6iによる底面ろ過」という自作のろ過能力最強クラスのシステムを組んで、テラリウムで遊んでました。
初心者ならではの発想が爆発したような贅沢なシステムでしたけど、我ながらろ過能力も高くてトラブルもなく、いいシステムだったなーと自負しております。
- 人から「変わってるね」って言われるのが嬉しい
- 純正よりも流用ってワードのが萌える
- 美しさよりも発想のユニークさで負けると悔しい
そんな普通じゃ満足できない人は底面フィルターを使って、自分なりのろ過システムを組み上げるのも面白いですよ。
水草をモシャモシャにしたい初心者に底面フィルターはちょっと難しい
- CO2強制添加
- 高光量のライト
- ソイルを敷いて弱酸性に
- 『底床』に肥料を埋め込む
- 様子を見ながら必要な栄養素が入った液肥を入れる
大きく分けるとこんなところだと思いますが、そのうちの2つ、
3のソイルと、4の底床への追肥
底面フィルターではこれらの手段が使えないので、それ以外の手段を使って水草をうまく育てていかなければなりません。
しかし、逆を言えば、余計な栄養分が入っておらず、すべて自分のさじ加減で決められるので、
このサイクルを回しながら、自分の追い求める理想の水槽の姿をじっくり作っていける楽しみがあります。
例えるならソイルを使った外部フィルターがオートマ車、砂利を使った底面フィルターがマニュアル車、といったところでしょうか。
砂利を使った底面フィルターには、全て自分次第で調整できる面白みがあります。
底面フィルターを10年使ってみてわかったおすすめポイント まとめ
- ろ過能力が高くて、ろ材も丸見えなので掃除がラク
- 水漏れ事故を起こして、他人に迷惑をかけることがない
- ろ材に砂利を使うので何年でも同じ状態で維持できる
- ソイルよりもコケが発生しにくく、アクアリウム初心者にもおすすめ
- 仕組みがシンプルで、器具やランニングコストが安い
- シンプルで改造しやすく、発想次第で色々な世界が表現できる
- 水草を育てるにはコツがいるけど、その分効果が実感できる面白みがある
こんなところでしょうか?